ペーパーコード/編みの種類
大きく分けて2通りの編み方があります。
デンマーク語では、「KUVERT-FLET」と「PLAN-FLET」になります。この呼び方が一般的かどうかは不明ですが、このように呼んでいる場合もあります。
*Y チェアの編み方
KUVERT-FLET (ENVELOPE-WEAVE )=(封筒編み)
洋封筒の裏側のパターンに編みます。
*J.L.Mollerの編み方
PLAN-FLET (LEVEL-WEAVE)=(平編み)
平らに編みます。
ペーパーコードの編み方
Yチェアの編み方
Yチェアの編み方には、大きく分けて2種類の方法があります。
それは、ペーパーコードの通し方の違いです。Yチェアの場合、ペーパーコードは、表面・裏面・中の3層構造になります。また、Y チェアの座面を構成している部材は4本あります。フロントサポート/バックサポート/左右のサイドサポートの4本です。その4本の貫にコードを渡しながら編むのですが、3層の真中に入って隠れて見えなくなる部分のコードは同一平面上に並びます。すなわち、フロントサポートとバックサポートの上部面、左右のサイドバーの下部面、を延長した平面上に3層構造の真中に入るコードが並びます。
フレームを見ると部材が1本分ずれています。これは、ホゾの長さを十分にとる為の工夫でもありますが、ペーパーコードを編む為には適した構造になっています。前後左右の座面の枠が同一平面上になっている座面の場合、編み始めのペーパーコードの交点のラインが歪みやすくなります。
方法1:
フロントサポートの上部からバックバーの上部、サイドサポートの下部から反対側のサイドバーの下部へコードを通してゆく方法。
方法2:
フロントサポートの下部からバックサポートの上部、サイドサポートの下部から反対側のサイドサポートの上部へコードを通してゆく方法。
どちらが主流かといえば、2の方法です。1は10年以上前のYチェアによく見られましたが、現在は、ほぼ100%が2の方法です。1の利点は、比較的、仕上がりのラインを整えやすく、コードが自然と平面上に並ぶので、初心者でも編みやすい(?)かもしれません。ただ、前後/左右に渡したコードを引っ張ると簡単にずれてしまうという欠点があります。とは言え、しっかりとテンションを保って編みさえすれば、耐久性はどちらも変わりません。
また、小さな違いですが、編み始めの段階で、ペーパーコードを留めるクギ(現在はステープル)の本数を減らす為にサイドサポートに巻き付ける方法もあります。その場合でも1/2どちらの方法でも編むことができます。(上記写真)
他にも、単にサイドサポートに最初の1週目だけ巻き付ける場合もあります。これは、編む人の工夫によりそのようになっています。最初に1回多く巻くことで、自然と横に渡すコードをより多くするように意識が働くので、力の入れ方の癖をその人なりに考えた、きれいに隙間なく張る為の工夫のようです。
ただ、フレームの形状によっては、ペーパーコードの隙間ができない様にする為に、巻き付けることが必要になる場合もあります。
フロントバーに巻き付けない編み方
Y チェアを見ると、フロントサポートの左右にペーパーコードが巻き付けられていますが、それは、編み始める最初の段階で、バックサポートの幅にフロントサポートの幅を合わせる為に巻き付けられたものです。
その行程を、別の方法で置き換えると、仕上がりが従来の見慣れたYチェアとは、 また違った表情になります。Fritz Hansen社のチャーチチェア(クリントのデザイン 写真1)がそれです。
このチャーチチェアのフレームは、写真2の様にサイドサポートの形状もこの編み方がしやすいような形状になっています。(アームチェアの場合は、この座枠にアームの支えが付けられる為、ペーパーコードを差し込む溝があります。その為にも太さが必要です。)
写真1 写真2
Yチェアのフレームは、そのような形状になっていませんので、最初に巻き付ける方が編みやすくなっています。とは言え、同じ様に張ることはできます。(写真3)
写真3